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丘の屋敷

シャーリイ・ジャクスンのもう一つの長編.「ずっとお城で暮らしてる」で、彼女の世界にすっかりはまってしまいました.

これは実に恐ろしい作品でした.何が恐ろしいと言って、「屋敷」にまつわる背景情報が、だんだんと記述されていくのですが、 実はそれが、起きたことの原因の説明にはなっていないのですね.

仄めかされるだけ仄めかされて、結局の所、肝心なことは分からずじまいなことが、何より恐怖をよびました.

こうなってくると、エレーンが見たり聞いたりした(ように描かれている)ことだって、屋敷のせいで実際に体験させられたことなのか、 それとも彼女の内なる妄想にすぎないのか、それすらも曖昧になってきます.

読者を置き去りにしているわけでもなく、上手い具合に引っ張りつつ、 大丈夫と思って踏んだところが落とし穴になってるみたいなところが、またいっそう、本作を優れたものにしているんですよね.

読んでいて、2度目映画化されたのを以前に見たことを思い出しましたが、読み終わってみると、映画の方は、 まさに蛇足としか言いようのない設定を付け加え、実に陳腐なエンディングにしてしまったものです.
あの映画を見てても、本作のネタバレになってないところが、流石というか、なんというか.

残りページが少なくなっていくのに、核心は明らかにされないままなので、読んでいてだんだんと焦るような気持ちが強くなり、 そしてエレーンにとっては衝撃的な結末に至るのですが、それでも、屋敷は変わらず存在し続けるのでした.

あたかも本作が、これからもずっと存在して、いまだ新しい読者を待ち受けているように.

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